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次々と出る首都圏の高濃度汚染「情報」  空騒ぎは「政官民」の思う壺だ

                        毎日新聞 2011年10月12日 引用 

 東京都世田谷区は12日、同区弦巻5の区道で、国際放射線防護委員会の基準などを基に区が独自に算出した安全の目安とする空間放射線量(毎時0.23~0.25マイクロシーベルト)の約11倍にあたる最大毎時2.70マイクロシーベルト(6日現在)を測定したと発表した。区は「通行するだけでは身体に影響はない」としているが、住民の不安に配慮し、周辺を立ち入り禁止にする緊急措置を取った。 (中略)

 労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則では、外部放射線と空気中の放射性物質による実効線量の合計が3カ月間で1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域は、放射線管理区域に指定するよう定めている。1時間当たりに換算すると毎時2.60マイクロシーベルトで、通常、原子力施設などではこの値が管理区域に設定する基準となっている。         (引用終り) 

 「エッ、東京都心でも、福島並みの汚染か?」と大騒ぎになりそうだった事件も、今日になると一転、次のような話になった。
                        10月13日(ブルームバーグ)引用:
 東京都の世田谷区の住宅街で高い放射線量が検出された問題で、保坂展人区長は13日夜、記者会見を開き区道に隣接する民家の床下にあった段ボール箱の中のビンから毎時30マイクロシーベルトを超える放射線量を検出したと発表した。区は現場の状況から東京電力・福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故との関連性は薄いとの見方を示した。        (引用終り)

 「大山鳴動してネズミ一匹」的な話で終わりそうだ。そもそもが、今月3日、区民から「放射線量が高い場所がある」という情報が寄せられたため、区が測定したところ、1時間当たり最大でおよそ2.8マイクロシーベルトと周辺に比べて高い放射線が検出されたのだそうだ。高圧の洗浄器を使って歩道部分の洗浄をしたが、放射線量はあまり下がらず、1時間当たり最大で2.707マイクロシーベルトが検出された。

 世田谷区で高い線量を示した地点はごく狭い範囲で「地上1・5m×幅2m」の範囲です。ここを離れた周辺の空間線量は低く周辺地域でも区内の平均的な線量でした。保坂展人(世田谷区長)

 ビンの中身は今から分かることとして、まずはヒト安心と都民の方は考えていることだろう。それはそれで結構なことなのだが、こんなことが数回続くと、慣れっこになってしまうことが一番恐ろしい。

 ブルームバーグの記事は次のように続いている。

  世田谷区の他でも首都圏では高い放射線量の検出が相次いでいる。

  大田区教育委員会は11日、小中学校13校で区の基準の毎時0.25マイクロシーベルトを上回る放射線量を検出したと発表した。

  横浜市では、港北区のマンションの屋上の堆積物から放射性物質のストロンチウム90が民間検査機関の測定で検出された。市健康福祉局健康安全課によると、住民が検体の放射能検査を民間機関に依頼した。市では追加試験を実施し、確認を急いでいる。

  共同通信によると、千葉県船橋市内の「ふなばしアンデルセン公園」で市民グループが毎時5.82マイクロシーベルトの放射線量を検出していたことが13日分かった。                           (引用終り)

 なぜ今、続々と首都圏での高線量のニュースが流れるのか、今しばらく「様子」をみて、考えよう。拙速は禁物である。世田谷の件を大上段に振りかぶって記事を書いたら、振り下ろす場所すらない。今までの日本のマスコミの力量からして、突然『スクープ』だらけになるはずもない。

 自分たちの足で「記事を書く」事をしていないのだから。大本営の発表を単に伝える能力しかないのだから ……

 それより、タバコの値上げが「見送り」となったそうだが、その理由を聞いてびっくりした。なんと、福島県内の葉タバコ生産農家を保護するためだと ……  

 政府も「喫煙を減らしたい」なら、思い切って「原料:福島産葉タバコ」とパケージに印刷すればよい。下手な値上げより、喫煙者が減るだろう。「私」は、どうしようかな。思案投げ首になってしまう。

 どういう気持ちで「記事」を書いたのか、疑いたくなる記事もある。

           消費者の信用は 農家の心晴れず 
              2011年10月13日 朝日新聞 マイタウン福島 引用 
 ●コメ出荷OK

 コメの出荷が、作付けしている県内全市町村で認められた。ただ、消費者の不安は計り知れず、農家は打つ手を探しあぐねている。

 12日夕、県の安全宣言を受け、JA福島五連の庄條徳一会長は「安堵(あんど)している。消費者の皆さんには安心して購入していただきたい」とコメントを出した。

 予備検査で基準(1キロあたり200ベクレル)を上回る500ベクレルが検出された二本松市・旧小浜町地区。同市の三保恵一市長は「今日まで緊張の連続だった。基準値を下回ったと聞き、ようやく安心できた」と顔をほころばせた。同時に、農家の間の値崩れを心配する声について、「販売に影響が出れば、JAなどと連携しながら、東京電力への賠償請求も検討したい」と話した。風評被害を避けるため、引き続き国に対し、コメの全袋検査を求めていくという。

 基準を下回ったとはいえ、消費者の信用は得られるのか。県内の農家の表情は晴れない。

 本検査で104ベクレルを検出した福島市水原地区でコシヒカリを作る男性(69)は「離れて暮らす孫には『ほかで買ってくれ』と言うしかない」と話した。

 毎年、札幌市の次女の一家に1年分のコメを送ってきた。ほかにも福島市内の親戚や知人ら十数人に送るのが慣例だったが、今年は難しいと考えている。

 半世紀にわたって、コメを作ってきた。できたコメは粒が大きく、食味がよいとの自負があった。「放射能の味がするわけでねえ。30年後を考える必要はないし、自分たちは食べるよ。かえって長生きするかもしれん」。軽口のなかに無念さがにじんだ。                           (引用終り)

 福島県産米のすべての出荷が許可されたニュースと共に、上の記事を読んだ。違和感がある。孫は、別のものを買ってもらう、親戚には送れない、そう農家が感じるものが、なぜ一般国民には「販売」されるのか。それも政府の『安全宣言つき』で …… 

 農家は被害者、加害者は東電、という擁護論もあるが、どう考えてもおかしい。風評被害を言う前に「政府一括買い上げ」を(何度も言うようだが)当初から要求すべきだった。今からでも遅くはない。全農、経済連(県の農協)を含め一体となって要求すべきだ。

 この記事にも、『無念さがにじんだ』で終わるのは「もっての外」で、全量買い上げをすべきだ程度の「一言」が必要だろう。朝日の今後の健闘を期待する。



 このように『政官民』の指示通り動いていれば、出荷OKとなるのだが、これに反すると厳しい処置があることを「阿武隈裏日記」さんが 復活米の末路 として紹介している。               (詳しくは →阿武隈裏日記)



 僕が暮らしている福島県川内村(面積は千代田区の17倍。人口は3000人弱、家は約1000戸)で、ただ一人、田圃1枚だけに今年、米を作付けした秋元美誉(よしたか)さんのことは、すでに多くのメディアが報じてきたので、ご存じのかたも多いと思う。

10月3日:川内村で唯一、自主検査のために田圃1枚だけ作付けした秋元美誉さんが米を収穫。その後、村や県の職員らが入り、全部その場で破棄させた。

 検査用に一部のサンプルは持ち去られたが、その検査をどこがいつまでにどのように検査して、どう公表するかは不明。秋元さんの「自分の手で検査機関に持ち込み、自分でもちゃんと結果を直接に知りたい」という唯一の望みが絶たれた。


 汚染の可能性がある米は一粒たりとも外には出させないという強い決意による省令と評価することもできるかもしれないが、この「隔離」という言葉を根拠に、現場では農家が自分の手で育てた作物を自分で調べる権利さえ奪われてしまったのだ。お上を信じろ、自分では一切余計なことはするな、ということか

 農家にとって、というよりも、土と農に生きる人間にとって、「自分の食うものは自分で作る」「他人様に売る作物の品質は自分で徹底的に責任を持つ」という2点は、基本中の基本であり、農家の魂とも言える。それさえも許されないとなれば、生きる意味を奪われるに等しい。

 一方で、30km圏外の田圃(福島市、伊達市、郡山市、本宮市、二本松市など)では、事前の土壌調査で秋元さんの田圃より明らかに汚染状況がひどいことが分かっているにも関わらず、なんら制限はなく今年も米が作付けされ、収穫されている。

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 川内村  1地点:1526ベクレル
 郡山市  10地点:875~3752ベクレル(平均2424ベクレル)
 福島市  1地点:2653ベクレル
 伊達市  8地点:1635~4086ベクレル(平均2634ベクレル)
 二本松市 10地点:897~4601ベクレル(平均2713ベクレル)
 本宮市  8地点:1020~4984ベクレル(平均3227ベクレル)

 川内村で作付けができないなら、もっと線量が高い福島市、郡山市、伊達市、二本松市、本宮市などの農地でも作付けはできないはずだが、これらのエリアは線量が高くてもなんの制限もなく、実際に作付けを行ってきた。

 本宮市の某地区(稲作農家120軒)でも、空間線量からも周囲の土壌汚染調査の結果からも、そこそこ汚染されていることがはっきりしているにも関わらず、事前調査をしないまま作付けは行われ、調査は収穫時期に数件サンプリングしただけなのだ。

 それで、3軒調査して2軒がND(検出せず)、1軒が12ベクレルだから、この地区はOKだということで出荷されていくのであれば、福島県全域では、事実上ノーチェックで出ていく米が相当数あるということになる。

 この程度の調査で安全宣言をしている一方で、お上が検査するのを待っていたら来年の作付けにも影響するし、自分で調べるしかない、と行動した農家の「自主検査」は禁じて、全量廃棄させたというのは、どう考えても整合性がない。

 秋元さんの田圃は、村で暮らす人間だけでなく、多くの人たちにとって最後の砦であり、希望だった。そこで穫れた米が、耕作者自身の手に一粒も残すことが許されず廃棄処分されたという事態は、まさに「とどめの一撃」になった。ご本人もショックで多くを語らず、知らない記者からの電話取材になどはもはや一切答えていないらしい。

 収穫まで、秋元さんのもとには、村や県から何度も役人がやってきて、「やめてください」「指示に従ってください」と頼んだが、秋元さんは「出荷はしない。自分で調べるために作っている」と言って譲らなかった。

 それがここに来て、村は「あれは秋元さんに依頼して調査用の米を作ってもらったのだ。サンプルはしっかりいただいて、しかるべき検査機関に回した。残りは省令にのっとり、きっちり一粒残らず処分した」ということにしたいらしい。

 そうすることで、村や県が悪く言われることもないし、秋元さんがこれ以上孤立することもなくなる、と。

 なんだかもう、怒りを通り越して、ただただ虚脱感に包まれるばかりだ。こんな状態で、何をどう頑張れというのだろうか。

 村の職員も可哀想だと思う。役場の平職員としては、上から命じられたことをするしかない。心情的にやるせないことなのに、やらなければならない職員もまた、大変な被害者だと思う。

        「復活の米」は幻だった。 

        自分で作ったものを自分で食べる、
        あるいは調べることさえ禁じられては、
        もはや福島に生きることはできない。        (引用終り)


 我々は「報道」ですべてを知っていると思い込みがちだ。しかし、「情報」は一方的であることが多い。本当に起こっていることの「一部分」しか、知らされていない。福島県内で、こうやって戦っている農家のことも知らなければ、どうやって「安全宣言」を出しているのかも知らないのだ。

 そういう「自分」であることを、いつも肝に銘じておかねばならない。




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