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リビア革命の本質を突いた中司達也さんの「報道写真家から」  リビアで何が起きたのか。

 武装蜂起からわずか1ヵ月、リビアの反乱勢力は中央銀行を設立した。という文で始まる 報道写真家から(2)--中司達也さんのブログ--は、リビア革命を新しい視点から見るための「よく考えられた文章」であると思う。

 筆者の視点のすばらしさに驚愕してしまう。私などには「思いもよらない」考え方である。以下昨日の続きとなるが、報道写真家から(2) を紹介する。詳細はリンクをクリックしてください。( リンク→ ) 報道写真家から (2)  (以下引用)

2月15日に蜂起したリビアの反乱勢力は3月5日に暫定国民評議会(NTC)を旗揚げした。それからほんの2週間後の3月19日、NTCは唐突に中央銀行の設立を発表した。

このとき、反乱勢力はベンガジをめぐって政府軍と激しい攻防の最中だった。しかも、劣勢に立っていた。そんな時に、中央銀行の設立という場違いな発表を行なったのだ。この不可解な発表に、一部の人々は敏感に反応した。

ここにひとつのギネスブック記録がある。ベンガジのリビア反乱軍は、国連安保理に資産を凍結されたムアマル・カダフィの支配下にある法人に替わる新しい国営石油会社を設立したと発表した。そして、中央銀行もだ!民衆蜂起からたったの数週間後に中央銀行が設立されるなど、かつて聞いたこともない。

Here's one for the Guinness Book of Records. The Libyan rebels in Benghazi said they have created a new national oil company to replace the corporation controlled by leader Muammar Qaddafi whose assets were frozen by the United Nations Security Council and have formed a central bank!
I have never before heard of a central bank being created in just a matter of weeks out of a popular uprising.         Libyan Rebels Form Central Bank 2011.03.28
http://www.economicpolicyjournal.com/2011/03/libyan-rebels-form-central-bank.html

この反乱がリビア民衆による自発的な蜂起などと信じている限り、リビア戦争の本質は理解できない。武装蜂起発生からNATO軍の空爆開始に至るまでの国際社会の一連の動きは、極めて不自然だった。リビアに対する計画的な侵略を、「民衆蜂起」と「人道危機」という二つの用語で薄く覆っただけなのだ。

反乱軍が彼らにとって全く無用の中央銀行を設立した事も、反乱軍が外部からの指令で動いていることを示している。

反乱軍に急いで中央銀行を設立させたということは、カダフィ政権のリビア中央銀行の活動をすぐに停止させたかったということにほかならない。リビア中央銀行は、国際社会にとってそんなに不都合な存在だったのだろうか。

リビア中央銀行は公式サイトで、自行を次のように紹介している。

リビア中央銀行(CBL)は100%国家所有であり、大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国の通貨当局として自立的な法人の地位を有している。CBL設立法は、中央銀行の使命を、リビアにおける通貨の安定を維持し、国家の包括的経済政策にしたがって経済の持続的な成長を促進するものと規定する。
The Central Bank of Libya (CBL) is 100% state ownership and represents the monetary authority in The Great Socialist People's Libyan Arab Jamahiriya and enjoys the status of autonomous corporate body.The law establishing the CBL stipulates that the objectives of the Central Bank shall be to maintain monetary stability in Libya, and to promote the sustained growth of the economy in accordance with the general economic policy of the state .
Central Bank Of Libya About Us         http://cbl.gov.ly/en/home/index.php?cid=94

リビア中央銀行は国家が所有し、その使命は、国家の政策に従って通貨の安定と経済成長に努めるという、ごくごく当たり前のことが書かれている。しかしそれゆえに、リビア中央銀行は極めて異質な中央銀行だったと言える。

今日、たいていの中央銀行は、国家からの法的な独立性を付与されている。この治外法権的な独立性を獲得するために、中央銀行は歴史的な努力を重ねてきた。それはもはや政治経済上の常識なのだ。

しかし、国家の通貨を発行し、管理する中央銀行が、国家の意向に従う義務がなく、密室の中で通貨政策を決定できるというのは、本来あるべき姿であるとは到底思えない。

この中央銀行の結束力は驚くほど強い。第二次世界大戦中、連合国と枢軸国の中央銀行家は、スイスのBIS(国際決済銀行)本部で、何の確執もなく協力して業務を行なっていた。冷戦も彼らにとっては薄いカーテンにすぎなかった。

こうした固い結束力を誇る中央銀行の世界で、100%国家所有を謳い、国家の政策に忠実なリビア中央銀行は極めて不愉快な存在であったことは間違いない。

公式記録によれば、リビア政府は144トンの金を保有している。それは世界第24位の保有高だ。この金はリビアの資産であると同時に、アフリカの未来を担っていた。

反乱軍に新しい中央銀行を設立させたのは、一刻も早くリビア中央銀行からすべての権限を奪い、その金融機能を停止したかったからだろう。リビア中央銀行を非公式化すれば、周辺国の金融機関は、リビア中央銀行の金や金融資産の受け入れを断念するはずだ。そして、アフリカの未来は後退する。

リビアはアフリカ諸国がうらやむ、豊かな安定した国だった。しかし、カダフィ大佐はリビア一国の繁栄を目指していたわけではない。彼の望みは、アフリカ大陸全体の平和と繁栄だ。

私たちの国はどうかといえば、第三世界の、かつては被植民地であった発展途上国です。人口動態学的に単一の勢力圏で、単一の大きな消費市場、単一の大きな生産市場、単一の金融組織、単一の通貨をもって、強大な世界の巨人に対処しなければ、疲弊した国が巨人の時代であり勢力圏の時代である今日、いかにして生き延びられますか。

世界地図はいまやいくつかの大きな勢力圏へと変わりつつあり、そこでは人類のいかなる集団も現代では大きな勢力権の庇護を受けなければ存在できないし、大きな経済的勢力圏、すなわち統合された市場なくしては経済的進歩の可能性、つまり生産、輸出、輸入についての可能性はありません。

 アフリカ連合(AU)臨時首脳会議でのカッザーフィー指導者の閉会演説  『リビアを知るための60章』 塩尻和子より

カダフィ大佐は、アフリカ大陸を、ヨーロッパやアメリカと対等につきあえる単一の統合された地域にしたいと考えていた。

アフリカ大陸にとっての問題は明確だった。多くのアフリカ諸国は不安定な通貨と財政資金難に苦しんできた。その結果、欧米の金融資本の跋扈を許し、アフリカ大陸は重債務によってますます疲弊していった。

AU(AU : アフリカ連合 …… モロッコ以外の全アフリカ53の国・地域が参加している。) は、「アフリカ中央銀行」、「アフリカ通貨基金」、「アフリカ投資銀行」の設立を決定している。これらの機関の役割は、それぞれ、アフリカ独自の共通通貨の発行、金融の安定的管理、そして、資金不足国への金融支援だ。まさに、アフリカの金融的自立を実現するのための機関だ。

カダフィは、ゴールド・ディナールの導入を計画していた-「それは、金から作られるアフリカの単一通貨で、富の真の共有である。」カダフィによると、その構想は、アフリカとイスラム国家が共同でこの新しい通貨を創造し、ドルや他の通貨に替えて、石油や他の資源の貿易に使用するというものだった。RT(ロシア・トゥデイ)はそれを、「世界の経済バランスを変革する構想」と呼んでいる。
Gaddafi was planning to introduce a gold dinar - "a single African currency made from gold, a true sharing of the wealth."
The idea, according to Gaddafi, was that African and Muslim nations would join together to create this new currency and would use it to purchase oil and other resources in exclusion of the dollar and other currencies. RT calls it "an idea that would shift the economic balance of the world."

            Gaddafi Planned Gold Dinar, Now Under Attack 2011.05.05
    http://www.thedailybell.com/2228/Gaddafi-Planned-Gold-Dinar-Now-Under-Attack.html

リビアの保有する144トンの金が、この通貨の原資として意味を持つはずだった。

そもそも、第二大戦後、世界が貿易通貨としてドルを受け入れたのは、金との交換性が保証されていたからだ。しかし、ドルは手品のように不換紙幣になってしまった。兌換通貨でなくとも、資源取引がドル以外の通貨で行われるとしたら、それだけでドルの優位性は脅かされる。たとえ一国であっても、ドルに対する挑戦は許されない。カダフィ大佐のゴールド・ディナールや、AUによる共通通貨構想は、ドルに対する宣戦布告に映ったかも知れない。

AUに引き継がれた構想は、決して非現実的な夢物語ではないことが明確になってきた。なぜなら、カダフィ政権は単独でも、潤沢なキャッシュフローをアフリカ大陸に注ぎ、支援してきたからだ。

産油国リビアの潤沢な資金力とカダフィ大佐の強力な指導力が、いまやAUの金融自立構想の実現を保証した。AUの構想は、まさに世界の金融秩序を変革する潜在力を持ったマグマと言える。それが噴火したときの火柱を想像して、欧米の金融関係者は恐怖と怒りに駆られたかも知れない。

カダフィ大佐やアフリカ諸国は、決して誰かを排除したいなどとは考えていない。

        彼らが望んだものは、支配や貧困、そして紛争とは無縁のアフリカ、
                          ただそれだけだ。            (引用終り)

 いかがであったろうか。原文の半分ほどにしてあるので、その主張をうまく伝えられたかどうか。これは私の責任であるが …… この北アフリカでの革命のとき、リビアでは起きそうにもない、と書いていたのに、おきてしまって慌てふためいた。

 中司達也さんから「この反乱がリビア民衆による自発的な蜂起などと信じている限り、リビア戦争の本質は理解できない。」と指摘されて、事件の奥深さを理解できた。いつの世にも、反対勢力はあるにしても、リビアで民衆の一斉蜂起は考えづらい。

 テレビレポーターが「カダフィのテント」に入って、誇らしげに言った。『シャンデリアがあります。』そのテントは「迎賓館」だ。シャンデリアの1つや2つは当然ではないか。日本の総理も、場合によっては「天皇」ですら、そこに招かれるのであるから …… 

 はたして、テント暮らしの独裁者など、いるのだろうか。アフリカ、中東でもっとも「軍事費の割合が低い」独裁者などいるのだろうか。リビアで二度と見られなくなる16項目 | マスコミに載らない海外記事 で紹介した16項目のすべてが実行されていたかどうかは確認できていない。が、ガダフィの夢は潰(つい)えてしまった事だけは確かなようだ。


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